■第15弾 PCB事故 2011-12-2 ■

第15弾 豊田PCB処理場で事故発生
2011-12-2

  客観的事実記載

平成23年12月1日、日本環境安全事業株式会社豊田事業所は、「豊田PCB廃棄物処理施設 攪拌洗浄エリアにおける洗浄廃液の漏洩について」コメントを発表した。
1.発生状況 豊田事業所は、11月に全施設を停止し定期点検を実施、30日より処理を開始していた。
 平成23年12月1日午前6時20分頃、清掃のため攪拌洗浄エリア内に入った作業員が液だまりを発見した。
 洗浄工程の廃液が終了していたことから、液は素子洗浄液が廃液弁より漏れたものと考えられる。廃液の漏洩量は約30リットル、PCB濃度は2.1r/kgであった。
 排気の常時監視設備での異常は認められず、外部への漏洩もなく周辺環境への影響は無かったことを確認した。
2.発生原因 現在調査中
。 3.応急対応 攪拌洗浄工程を停止した。
4.今後の対応 早急に発生原因を調査のうえ対策を講じる。
                   以上

今年初めまで豊田事業所で勤務していた方からのメール。

 貴重な情報をありがとうございます。
 わたしも、どうようのじょうほうをJESCO HPにて確認しましたが、やはり今回も些細な事故のようです。
 しかし、問題は深刻で緊急性を要する状況にあります。
 特に、11月に行われた定期点検の直後に起きたということは、定期点検の意味そのものが根底から覆される事故であります。
 また、豊田事業所の施設は巨大な精密機械のような施設でもあります。
 つまり、些細なことでも大事故に発展する可能性があるということです。
 さらに、以前から私が重要視している問題として、事故が起きても施設が動き続けること、 施設が事故が起きても止まらない、異常な状態でも動いてしまう設計思想そのものが欠陥なのです。
 それに拍車をかけるように、派遣社員の雇用の問題、複雑な組織体系、施設の立地などが問題を大きくしています。
 だから、JESCOの存在は危険なのです。福島を忘れてはなりません。

     追従して、PCB処理全体の遅れについて、興味深い資料があります。
■PCBを含む廃棄物の焼却実証試験の実施について(お知らせ)
 環境省は、富山県富山市及び愛媛県並びに株式会社富山 環境整備及び財団法人愛媛県廃棄物処理センターの協力を得て、PCBを含む廃棄物の焼却実証試験を実施することとしましたのでお知らせいたします。
1.趣旨
 環境省では、PCBを含む廃棄物の処理体制の整備を図るため、平成17年度から、既存の産業廃棄物処理施設等において、焼却実証試験を行い、安全かつ確実に処理できることを確認してきました。  当省では、PCBを含む廃棄物の処理体制の検討に向け、処理の安全性及び確実性を確認する観点から、焼却実証試験を引き続き行うこととしており、今般、関係自治体である、富山県富山市及び愛媛県並びに産業廃棄物処理施設の設置者である株式会社富山環境整備及び財団法人愛媛県廃棄物処理センターの協力を得て、焼却実証試験を実施することとしましたので、お知らせいたします。  焼却実証試験の概要は、以下のとおりです。
2.焼却実証試験の概要
(1)実施場所及び実施期間
・株式会社富山環境整備(富山県富山市)
  平成23年11月28日(月)〜12月2日(金)
・財団法人愛媛県廃棄物処理センター(愛媛県新居浜市)   平成23年12月6日(火)〜12月8日(木)
(2)実施内容
 株式会社富山環境整備においては、PCBを含むコンデンサ、抜油後のOFケーブル、抜油後の油遮断器、廃活性炭、ウエス及び防護具等並びにPCB処理物を焼却し、処理後の燃え殻、ばいじん、排ガス及び周辺大気等のPCB濃度等を分析することにより、周辺環境に影響を及ぼすことなく安全かつ確実に処理されていることを確認します。焼却は、燃焼ガスの温度を1,100℃以上に保ちつつ、2秒以上滞留させて行うものとします。  また、財団法人愛媛県廃棄物処理センターにおいては、PCBを含む廃活性炭、ウエス及び防護具等並びにPCB処理物を焼却し、処理後の燃え殻、ばいじん、排ガス及び周辺大気等のPCB濃度等を分析することにより、周辺環境に影響を及ぼすことなく安全かつ確実に処理されていることを確認します。焼却は、燃焼ガスの温度を1,100℃以上に保ちつつ、2秒以上滞留させて行うものとします。  なお、実施に当たっては、廃棄物処理、分析、健康影響等に関する専門家の助言を得ることとします。
3.これまでの焼却実証試験の実施状況
 平成18年3月から平成22年3月にかけて、 微量のPCBを含む廃棄物を試験試料として用いた焼却実証試験を14箇所の施設で合計27回実施し、いずれも試験試料が安全かつ確実に処理されたことを確認しています。
4.その他
 今後も、協力が得られる他の施設において、焼却実証試験を実施していく予定です。


      掲載者コメント
度重なる事故発生は、豊田事業所としても不名誉のことだ。多分、全国の同処理施設の中でも群を抜いて発生件数は多いだろう。
だが、証明はできないが、他処理施設でも豊田事業所と同じくらいの事故が発生しているに違いない。たまたま、豊田事業所では、トヨタ自動車(同社もナーバスになっているはず)の工場敷地内であること、豊田市職員が派遣(監視)されていること、中日新聞社がこれまでに詳細に事故を報道したこと、また、たまたま内部告発があったこと、などから小さな事故でも「必ず報告せよ」、ということが重なたからにすぎない。 今回の事故は小さいようにみえる。しかし、事故が発生しやすい「内部環境」は1つも改善されていない。だから、今後も大小の事故が発生するだろう。
「内部環境」とは、@ 処理が終了すれば同「処理施設」すべてがとりこわされることになっているので、建物・機械施設の素材が「10年で取り壊す」ことを考慮して選定され、脆弱なものになっている。A 作業員の身分が不安定であること。作業員一人ひとりの能力はかなり高い。しかし、派遣、アルバイト、期間・臨時作業員がほとんどで、身分は不安定である。事故は、機械・設備から起きるより人間が起こすことの方が多い。
 それ故、作業者教育をいくらおこなっても、心の内まで「支配」することはできぬ。

 作業者による内部告発が、この種の施設の安心・安全を担保する。