■最初の事故・ PCB処理工場(トヨタ自動車工場敷地内)・稼動運転中に事故 ■

2005-11-23

トヨタ自動車工場敷地内
PCB処理工場で重大事故
毒ガスが充満・火災報知器が作動
4時間30分 大気圏に流出!

豊田市細谷町のトヨタ自動車細谷工場敷地内に建設されている日本環境安全事業(株)豊田事業所内で平成17年11月21日午前2時頃、蒸気エリア内の第1洗浄液が防油堤内で漏洩していることを監視員が発見した、と同事業所が発表した。

日本環境安全事業(株)豊田事業所発表
PCBの漏洩の件 H17-11-21 12:06

 〈漏洩の状況〉
  漏洩した廃液は油量ペール缶10杯、200L程度。
 また、火災報知器が<火災ではなかったが>同2時7分作動した。

 〈その後の対応〉
当該ポンプは漏洩と同時にインターロックで自動停止した。直ちに手動弁を閉鎖し、蒸留塔も即刻停止作業を実施した。防油堤内の漏洩液の回収、拭き取り作業を実施し、午前5時頃完了。その後、洗浄液で清浄化作業を実施し午前8時頃完了。現在、安全な停止状態に移行している。

 〈地域への影響〉
 密閉した敷地内にある防油堤内での漏洩であり、直ちに汲み取りをして全量回収したが、一般管理区域を対象とした換気排気(第6系統※1)のオンラインモリタリングがPCP=210 micro gram/Nm3を表示した。(排出基準100 micro gram/Nm3、管理目標値10 micro gram/Nm3)
 なお、異常時には活性炭排気処理装置を装備する換気排気(第5系統※2)に切り替えることになっていたが、 この切り替え作業が午前6時30分頃となり、約4時間30分に亘り、排出基準を超えていた可能性がある。
 蒸留エリアの換気(第5系統)ではなく、一般管理区域の換気排気(第6系統)から検出された原因は調査中。
 また、現在排気ガラリでの排気サンプリングを実施し、公定法でのPCB排気濃度を分析中。
※ 1:工程分離水処理室、PCBオンラインモリタリング室、ブラインチラー室、分析室、解体/洗浄室天井裏の排気
※ 2:トランス・コンデンサー・抜油解体エリア、蒸留エリア、タンクエリア、試験室、保管倉庫、受入保管エリアの排気。


渡久地政司の意見

これは重大事故ではないか! しかも2度目なのだ。2度あることは3度ある、と格言にある。1度目(2005-4-25)の事故でペシャンコに潰れた装置を全部取り替えずに、修理して開業に間に合せたために発生した事故ではないのか。

  事故原因は、圧力ゲージの取り付け部分が破損したため、としているが、この部分は、第1回の事故との因果関係をはっきりさせる必要がある。第1回事故では、管内を真空にしたところ潰れた、という。真空にしたくらいで潰れるようなきゃしゃな装置であることが問題だ、とわたしは指摘しておいたが、まさに圧力ゲイジ破損は、その指摘が正しかったことを示している。

火災報知器は豊田市消防本部と連結していて初めて効果がある。(連結していないとしたら、セキュリティー管理者・豊田市消防本部の責任は重大だ。)
監視員が発見した、と発表しているが、火災報知器が作動(午前2時7分)したので、事故が分かったのではないのか。そして、火災報知器が連結していて、公になったのでしかたなく、公表に踏み切ったのではないのか。

発生したのはPCBが気化した毒ガスである。その毒ガスを浄化する換気系統に切り替えるのが4時間30分に亘り遅れたのはなぜか。その説明がない。深夜、慌てていた、では説明にならない。原子力関係施設に匹敵する安全性が求められているはずだ。
しかも、蒸留エリアからでなく、一般管理エリアから毒ガスが検出されたことは重大だ。
しかも、屋外の大気に出て拡散したのだ。
火災報知器が作動するくらい、大気内にはPCB毒ガスが充満していたのではないか。これは、火災以上の重大事故ではないのか。
PCBガスは、即効ガスでなく、体内に入ってジワリと影響する毒ガスなのだ。
中日新聞(11月21日夕刊)は、「周辺の住民の健康被害の恐れはないとしている」と報道。
被害が出てからでは遅すぎるのだ

わたしは、化学のことはさっぱりわからない。素人のわたしでさえ疑問だらけだ。
誤りを指摘されれば、訂正はやぶさかではない。
専門家からのアドバイスを得て、わたしの意見を補強して、3度目のPCB事故が発生しないようにしたい。

敷地を提供している改善のトヨタさん、そう思いませんか。
2005-11-23記


  PCB 処理工場(トヨタ自動車工場敷地内)・試運転中に事故

2005-5-18
豊田市細谷町(トヨタ自動車元町工場東側)のトヨタ自動車工場敷地内に建設中のPCB 廃棄物処理施設(施主:日本環境安全事業株式会社/環境庁の外郭会社)で4月25日、稼動 テスト中に事故が発生した、と同社が5月13日、豊田市役所で記者会見して公表した。 事故原因は、蒸留塔を真空にするテストをおこなった際、手動弁の開閉ミスにより真空 にする予定のない供給槽のタンクまで真空にしてしまった、というもの。 同社では「この事故による作業者への被害及び周辺への影響はなく、また、PCPの処理 はまだおこなっていないので、漏洩はない。現在、破損箇所は復旧しているので、完成 スケジュールに影響はない。」としている。

《私の意見》
PCB処理は、民間では経費がかかり不可能なので国が行うべきもの。処理施設を建設する ことに反対はしない。
しかし、この種の施設については、徹底的に疑うべきだ。
例え疑いが間違っていても、疑ってかかったほうがよい。それは、これまで、原子力施設 で国や関係機関がウソ八百を並べてきた経緯があるからだ。
同社発表が99%正しいとしても、この際、疑っておくことだ。
私には、実証、裏付けはできないが、疑問がある。その幾つかを次にあげる。

内部関係者から「間接的」にもたらされた情報では、プラントが壊れ、パイプがあちこちで破損し 、使用不可能になった。プラント全部を取り替えるには、6月納期にまにあわないので 、 溶接などをして応急対策をとっている。このために100名ほどの作業員が関西から集められ、 かんづめ状態になり、昼夜兼行で作業をおこなっている、と。
 朝8時50分、現地で写真撮影をおこなった。プラントでは、作業員が5名〜10名ほどが、 一列になって行進していた。それが、規則的に3〜5チームくらいが動いていた。 周辺はものものしい状況になっていた。
このプラントは大林・クボタ共同企業体が請負っている。しかし、内部情報では、 破損したプラントは「シンコウ」が請負っている、とのことだった。この「シンコウ」が 「神戸製鋼」なのか「神鋼電気」なのかははっきりしない。
大林が建物、クボタがプラントとすみ分け、「シンコウ」がその下請けなのだろう。

技術的なことは、わからない。ただ、プラントが「真空にしたら壊れた」、では納得いかない。
そんなチャッチイものなのだろうか。
このあたりのことは、責任ある第三者の専門家による調査と説明が必要だ。

万一、プラントが稼動してからPCB事故が発生したら、大変なことになる。万一、とは
10000分の1のことだが、もっと高い確率で事故は発生するのではないか。
なぜなら、一度キズがついたプラントを取り替えるのでなく、応急修理をしているからだ。
プラントはトヨタ自動車の敷地内にある。
(事故が発生したら)トヨタが被るダメージは無論大きい。トヨタは敷地を提供したのだから、
リスクは承知だろうから、(その時は)自業自得というものだ。

問題は、このプラントの西側を流れている逢妻男川。この川が汚染されると、
豊田市、知立市、刈谷市から衣浦湾が汚染されるのだ。約100万人が危機にさらされるのだ。

「真空にしたら壊れました」、ではすまされない。
また、請負業者から施主に引渡されておらず、処理事業者による試運転以前、として
、責任を逃れることは許されない。

事故発生から1ケ月(隠し続け)もたって、地方新聞社が取材に動きだした後になって、慌てて、
記者会見・発表では様にならない。疑惑は深まるばかりだ。

「真空にしたら壊れました」、のようなチャチなプラントは、即刻造り直すべきだ。
品質と改善のトヨタさん、そう思いませんか。