■ 2012-12-31 掲載 2012年由井晶子・吉竹幸則・与那覇潤・伊藤秀美・比嘉豊光・平良榮昌の本 ■

2012-06-05 掲載


推薦書:時の目−沖縄  復帰40年の軌跡
比嘉豊光・山城博明写真展 図録集
 発行  2012-5-15
 琉球新報社
 定価 1500円(+消費税)
 推薦理由 近日中掲載

2012-5-4掲載

推薦書・ 検証『ある神話の背景』
   ・ 『船舶団長の 那覇帰還行』
初版発行 2冊共 2012年4月10日
発行所 紫峰出版 〒300-3253 茨城県つくば市大曽根2743-3
              電話 029-864-3496
              メール info@shiho-shuppan.com
http://www.shiho-shuppan.com
定価 2冊共それぞれ 1000円+税
著者 伊藤秀美 (いとう・ひでみ)
 1950年 三重県生まれ
 1973年 東北大学理学部物理学科卒業
 1978年 京都大学大学院博士課程中退 理論物理学専攻
 防災関係の仕事の傍ら戦史を研究

掲載者感想
 著書『検証 ある神話の背景』を推薦します。
著者・伊藤秀美氏の検証は具体的で精緻をきわめており感服した。 わたしや在沖縄の研究者の多くは、粗雑なところが多く 民族性? テイゲー(いいかげんなところ)主義の傾向が強い。
とくに1970年ころまで、沖縄側からの発信は、本土に沖縄戦とその悲劇を訴えたい、という思いが先走り、学問的な論文が少なく、感情的な訴えが多かった。
曽野綾子著『生贄の島』昭和45年3月第1刷 を読んだ時、わたしは、衝撃をうけた。このような醒めた文章でタンタンと書きつづけることは、沖縄人にはできない。凄い本が出てきたものだ、と沖縄関係者に読むことを勧めました。
ですから『ある神話の背景』昭和48年5月も第1刷で入手し、きちんと読んだ。わたしは、沖縄の弱点を突かれた、という思いがした。
10数年後、その曽野綾子氏が本性をあらわし、ヘビのような目と心で大江健三郎さんに食い付いた時は、正直うろたえた。わたしの能力と所持している資料と知識では対応できなかったからだ。

裁判の過程でもどうなるものか、と心配でたまらなかった。
判決後、『世界』臨時増刊号 NO 774 を入手し、ホツトした。弁護士や関係者がよく頑張ったな、で資料をヒモでくくり書庫のすみに積んで放置した。

この度、伊藤秀美氏の貴重な分析・検証を読み、研究者の作業とはいかに凄いものか、とただただ感服した。そして、積んであった資料を読み返した。
そして、『ある神話…』裁判と『南京虐殺…』の2つは、同じ流れの中で提起された問題・事件であると痛感した。『南京虐殺…』についても、精緻な論戦を構築しなければならない、と改めて痛感した。
蛇足だが、文系の頭脳は、論争となると過激な言葉で相手を攻撃し、決め付ける傾向にあるようだ。理系の頭脳は、読んでいて堅苦しいが、文章と論理が整理されているので、きちんと読みさえすればよくわかる。そこを切り口にして読むのもよい。
沖縄に関心をいだく方々必読の書です


2014-5-13追加
 次のようなメールをいただきました。

―ある神話の背景―
評論家の佐高、山崎両氏が、「曾野綾子大批判」というを書きました。そこで、曽野綾子「ある神話の背景」が依拠する「第三戦隊陣中日誌」が改竄本であるという小生らの説を取り上げています。その上で「ある神話の背景」はノンフィクションではなく捏造本に基づいた政治的謀略文書であるという主張を展開しています。小生もアマゾンの同書サイトに「さんげつ」のペンネームで書評を書きました。ご笑覧戴ければ幸いです。
週刊金曜日1月24日号も曾野綾子を取り上げました。表紙で「嘘と説教をばらまくベストセラー作家」とコケにされても(添付資料参照)ダンマリを決め込んでいます。今回もやり過ごして敬虔なクリスチャン作家のイメージを保つ算段でしょうが、なんとか追い詰めたいものだと思っています

渡久地政司 びっくりしました。(2014-5-13)
40年ほど前、『ある神話の背景』を読んだ時、凄い本だな、とびっくりしました。今、逆にびっくりしました。きれいな顔をして、ヘビのような陰湿さを感じました。

2012-01-23 掲載


推薦書 与那覇潤著『中国化する日本』

初版発行 2011-11-20
発行所文藝春秋社
   定価 1500円+税

著者与那覇潤(よなは・じゅん)

右も左も驚愕の「ほんとうに新しい歴史教科書」。
行き詰まり日本を、やり直すには、まず歴史の建て直しを! 。
32歳、愛知県立大学准教授、白熱の大学ライブ講義 。

掲載者感想ーー与那覇潤著『中国化する日本』を読み、小室直樹作品を思いだした。
30年くらい前、小室直樹作品を幾冊か読み、これがホンモノなら日本の政治学が変わる、と思った。当時、東大大学院で政治学を学んでいた学生に聞くと、「あの変人か」、と冷ややかな反応をしめした。
与那覇は、自分の考えは、いまや、世界と日本の学者の常識になっている、と他の学者の名前を挙げて、繰り返し語っている。
読んでいて面白い、なるほど、こんな見方があるのだ、と主張の斬新さに驚き、感心した。これがホンモノならば、日本の歴史、沖縄(琉球)の歴史の見方も激変する、と思う。
しかし、如何せん、わたしは75歳、しかも歴史をきちんと勉強していない。一人のマニアでしかない。評価・判断することができない。
与那覇作品を多くの人々に読んでほしい。


2012-02-05 掲載


推薦書 与那覇潤著『帝国の残影』
発行所 NTT出版
定価 2300円+税
著者与那覇潤(よなは・じゅん)
 小津安二郎の一連の作品、およびその原作・脚本・批評・回想などの関連テクストをを読み解くことで、この国の人々が小津に仮託してきた「日本的」  なるものの正体と、その帰趨とを明らかにすること。
映像と言説、作家と思想家とに優劣をつけず扱うことで、いわば思想的実践の場と映画という観点を組み入れた。新たな文化史の語りを目指したい。
 監督小津安二郎のキャリアの前半分を占める。戦前から戦中にかけての日本が、東アジアに植民地/占領地を保有する帝国であったという事実に立脚することで、「いちばん日本的だと日本人が思っている映画 監督」とも評されるその作品の内部に、いかに中国大陸での兵士・小津安二郎の影が深く差しこんでいるかを考査してみたい。
(本書より)

(掲載者感想)ーー掲載者は、少年時代から20歳ころまで小津映画をほとんど観ている。そして、そのころ、生意気にも小津映画を否定し、大島渚監督の映画を高く評価していた。今、客観的に小津監督の映画を観、批評できる位置にいるが、やはり、「退屈」である。。

2012-01-17 掲載



推薦書 吉竹幸則 著『報道弾圧』
初版発行 2011-12-30
発行所  東京図書出版
定価   1600円+税
著者   吉竹幸則(よしたけ・ゆきのり)

 1948年京都市生まれ。朝日新聞社に記者として入社。名古屋本社社会部や東京本社政治部記者として活躍。
 岐阜、豊橋支局員。豊田、山形支局長。朝日新聞社社友。現在、フリージャーナリスト。
 しかし、名古屋本社社会部記者時代に取り組んだ長良川河口堰報道で、上司の社会部長からおもわぬ記事の差し止めを受けた。それに対して異議を編集局長に申し立てたことを発端に人事・処遇などの差別を受け、記者職をも剥奪され、名古屋本社広報センター長などに左遷された。
   本書の目次
第1部  建設省の闇
第2部  朝日の闇
第3部  裁判所の闇

掲載者ーー著者が豊田支局長の時、支局でお会いしたことがある。この本を読み、この頃、著者・吉竹氏は、精神的に最も苦しい時代であったことを知った。わたしも、そのころ、「羅針盤」を失ったドロ舟に乗り、もがいていた。
バクロ本ではない。恨み、偏見で書かれていない。具体的事実が簡潔な文章で書かれているので説得力がある。読むのに3日間、十数時間をついやし、かなり疲れたが、読後に充実感があった。
「建設省と裁判所の闇」については、「やはりそうか」と追認。「朝日の闇」は、少年時代から朝日のよき愛読者・ファンだっただけに残念無念。とりわけ「朝日ジャーナル」(分厚い「朝日ジャーナルの時代」1993年4月1日を購入して保存)は、この週刊誌の広告から隅々まで熱心に読み、この路線で活動していた。このころの「アサヒグラフ」は今でも保存している。
朝日の記者は、みな優秀であったし、今も優秀だと思う。しかし、今、「自己規制」が働いてか、面白くない。その原因が「この本が指摘」している。
日本の良心として、愛読者の期待を裏切らないでほしい。

2011-08-17 掲載


推薦書 由井晶子著『沖縄 アリは巨象に挑む』

初版発行 2011-6-23
発行所  七つ森書館
定価   1800円+税
著者   由井 晶子(ゆい・あきこ)
 1933年那覇市生まれ。
 55年沖縄タイムス東京支局に入り、81〜83年本社勤務を除いて、90年まで東京在勤。編集局長、論説委員歴任、97年引退。
 著書多数。
 本書の目次
 プロローグ
 第1章 巨大・恒久基地に化ける
 第2章 辺野古ボーリング調査を阻止する
 第3章 日米両政府の圧力に抗する
 第4章 「知る権利」確立に向かう
 第5章 鳩山民主党政権は迷走する
 第6章 「抑止」は「ユクシ(ウソ)」
 エピローグ

平良榮昌著『回想 風雪に耐えて 続編』

発行 平成24年10月1日 非売品
  著者住所 441-3301 豊橋市老津町字池上268 TEL(0532)23-1549
出身地 沖縄県国頭郡大宜味村字大宜味(屋号 仲親田)
平成8年『風雪に耐えて』の発刊より16年を迎え、…前著の結びに「老後は、趣味の園芸、ボランティアで過ごす…」…故郷沖縄を偲びながら…
沖縄より移植の緋寒桜、ゴーヤの普及。
今回、初公開。戦時中、奇跡5つ 。九死一生どころか百死一生を5回も…。奇跡を自らの忍耐と努力で「負の運命を幸運の運命」に引寄せた。