■ 『豊田とトヨタ』■

2014-08-11


『豊田とトヨタ』  
2014年8月11日   


本の紹介
『豊田とトヨタ 産業グローバル化先進地域の現在』

発行所 東信堂
発行年月日 2014年10月10日
価格 4600円+税

序章 変貌する豊田と研究の視点
第1部 豊田:地域社会の俯瞰図
 第1章 産業グローバル化先進地域の経済活動と階層構成
第2章 トヨタ自動車の地域戦略と組織再編―地域社会との接点としての社会貢献活動
第3章 豊田市のコミュニティー施策の展開
第2部 産業グローバル化先進都市の地域コミュニティー
 第4章 産業グローバル化先進都市豊田の地域コミュニティー形成
 第5章 自動車産業就業者の地域生活
 第6章 女性たちの社会活動参加
 補 章 周辺階層の形成メカニズムと社会的紐帯
第3部 まちづくりアクターとネットワーク
 第7章 産業都市における市民団体の活動空間とネツトワーク
 第8章 豊田市における市民活動の展開とその支援政策
 第9章 女性たちが担う市民活動の展開
 第10章 トヨタ自動車のボランティア活動
 第11章 自動車産業退職者の定年帰農
第4部 多文化共生と地域統合のかたち
 第12章 多文化共生にかかわる市民活動
 第13章 多文化共生をめぐる市民活動のネットワーク
 第14条 グローバル企業の人材獲得と育成
 終 章  岐路に立つ豊田とトヨタ 総括・展望と都市研究への意義

2014年12月13日 渡久地政司の最初の感想
丁寧に読んでいない。分厚い本の目次、はしがき、気になる個所、など目に通しただけである。これから感想を幾度も幾度も書かねばならない。
文学書などのように、心を声にし、文字にすればわかり易いし、読み手も楽だ。この本は、能面のように、表情がなく、まったくつまらない本である。心と血がかよわない「医学書」みたいなものだ。だが、きわめて大切な本であり、多くの情報を持っている。
地域社会のことを詳しくまとめてあるが、そこに無いものがある。住民側の宗教運動、市民運動、政治活動、営利組合運動、スポーツ活動などなど。あるものは、官制市民運動、官制市民組織と企業市民運動と企業地域組織など。体制、官制にしろ企業にしろ、その視点から情報をあつめて、その成り立ち、構成されている。いままでわからなかったことが、わかったことに「意味」がある。企業内「学園」の企業内教育の実態がわかっただけでも意味がある。

これは、わたしの反省を含めての感想だが。かってわたしは、松下圭一先生の『シビルミニマム論』で、市民社会の構成、あり方、市民意識などを参考にして、政策をたて、考え、その実現のために運動をしていた。その市民組織、運動などが、「自立した市民意識」を除いて、体制側が完成させた。残りは、自立した市民意識の確立、という抽象的な、意味あいまいな部分がのこるが、これもわたしは、十分検討しないで、云々していただけだ。
この本の 目次をみた時、松下理論は、体制側によって、形式的には、「実現したな」であった。ということは、わたしの「敗北・破綻」を意味している。自立した市民意識で生きている市民は、現在、フランスにもアメリカにも日本にも、コンマ以下の数字では存在しているかもしれないが、見える社会を構成しているところでの、人々。そこには、自立した市民など、まったくと言っていない。存在しないのだ。 
豊田市において、体制市民社会の確立。これがわたしのさしあたっての感想である。残念でも、それを受け入れざるを得ない。

続く