■邸若龍 作・画『霧社事件 台湾住民、日本軍への魂の闘い』著『■

2014-03-16







劇画  邸若龍 作・画『霧社事件 台湾住民、日本軍への魂の闘い』   1993年4月20日 第1版第1刷  
現代書館
著者―1965年生まれ、台湾人、復興高級商工職期学校美工科卒

P259 霧社事件を考える会の麻野美智子氏の解説の冒頭を次ぎに掲載する。
抜粋― 日本人も以前は、まぎれもない「首狩り族」であったし、傷つけられた名誉を回復するために、短絡的に「仇討ち」したり「切腹」したりして死に急いだ。勝敗を度外視して、強者に立ち向かった弱者が、敗れてもなお「さわやか」と称賛されるのは、楠正成から高校野球に至る系譜である。こうした日本人の心情にぴったり合致するのが、この劇画『霧社事件』だ。主人公であるタイヤル族の山胞(山地原住民)たちの英雄的行為は、日本の戦国時代の勇士の姿と重なりあい、心をひかれて読み進む内に自分が加害者である日本人のはしくれであることなど、念頭から消えてゆく。−以下略―

渡久地政司の感想―わたしは、自分の感情をこの劇画に登場するすべての人物に挿入して読んだので、大変ショックをうけ、そして疲れた。
わたしは、加害者だったし、被害者でもあった。そればかりか、自分の母親が、肉親が、山岳民族の姿となり動き、声を出し、呼びかけてくる錯覚さえ覚えた。過去、本を読んだ直後に夢をみることはなかったが、この本を読み、山岳民族衣装の母親の声が夢の中からはっきり聞こえてきたのには、大きなショックをうけた。
沖縄のヤンバルの山地育ちの母は、まぎれもなく「タイヤル族」であった。そして、「タイヤル族」の自分がそこにいた。