■ 「島ぐるみ闘争」はどう準備されたか ■

2015-10-25


森 宣雄・鳥山淳 編著
不二出版
2013年10月25日
 1800円+税
目次
はしがき  沖縄のあゆんできた〈あま世〉への道
第1部 「オール沖縄」平和・自治運動の起源
 第1章 沖縄平和・自治要求運動のかつて・いま・これから
 第2章 「島ぐるみ闘争」はどう準備されたかー島人・農民・母たちと革命家ー
第2部 沖縄の人びとの歩みー戦世から占領下のくらしと抵抗
第3部 
 人との出会い 伝え継ぐこと
あとがきー本書のなりたちと国場幸太郎の〈あま世〉
 
(はしがき) と (あとがき) から読んだ。全部読み終えてから(あとがき)を再読した。ジーンときて、重い疲れを感じた。「亡くなってから評価される人こそ本物」と知人の芸術家が言っていた。
沖縄の「公史(官史)」や革新政党の記録や歴史からも抹殺するか、無視される出来事をほりおこした貴重な「資料」の解説書である。
本書の中心人物は、国場幸太郎である。
私ごとであるが、1999年11月、佐敷村(現八重瀬町)の厚生年金会館で開催された国際シンポジュームで国場幸太郎の講演を聞いた。しかし、どのような内容だったのかの記憶はまったくない。
私ごとついでに、今1つ、本書の副人物の瀬長亀次郎も1958年8月、那覇市のハーバービュ広場で演説を聞いた。この演説は、鮮明に記憶している。
50余年前、瀬長亀次郎著『沖縄』(三一新書)、瀬長ら著『沖縄からの報告』(岩波新書)を読んだ。そこに1行くらい国場幸太郎が「逃亡した」と言うような記事があったような記憶がある。1960年代、国場幸太郎が「経済評論」と「思想」に論文を書いていたことは、知識として知っていた。
わたしは、高校2年生の時、『祖国なき沖縄』を読んでいたし、また、その後に起きた伊佐浜闘争についても概要は知っていた。その闘争を影で指導していたのが国場幸太郎であった。今日まで、彼が学生時代に東京でおこなったことや伊佐浜での闘争については、知らなかった。それ故、そうだったのか、と追体験するような気持ちで納得した。
この本は、共産党系学者からは無視されるだろうが、沖縄の戦後史を学ぶための必読書であることは間違いない。