■ 2003-02-20 掲載 小熊英二氏の本 ■

小熊英二著「民主と愛国」紹介

豊田市政研を知るために
本の紹介・03-1-20 掲載にあたり、著者の了解を得ていません。

著書名:〈民主〉と〈愛国〉
価格:6.300円プラス税


著者:小熊英二・1962年東京生まれ。1998年東京大学教養学部総合文化 研究科国際社会科学専攻大学院博士課程終了。
この本の主な内容 序章   二つの戦後 第一章  戦後の始まり 第二章  丸山眞男と大塚久雄 第三章  敗戦直後の天皇制論議 第四章  憲法愛国主義 第五章  共産党と保守系知識人 第六章  政治と文学論争 第七章  1950年代のナショナリズム 第八章  国民的歴史学運動 第九章  教育学者と日教組 第十章  竹内好 第十一章 講和問題から五五年体制まで 第十二章 六十年安保闘争 第十三章 一九六○年代と全共闘 第十四章 吉本隆明 第十五章 江藤淳 第十六章 鶴見俊輔・小田実とベ平連 結論   第三の戦後

〈感想〉書評ではありません。掲載にあたって著者の了解も得ていません。勝手に、大変参考になり、 わたしにとって、大変ありがたい本でしたので、読みつつ雑感を書き、一人でも多くの方に読んで ほしい、との思いです。
 丸山眞男の弟子と自らいっている人物の影響から、言葉として「丸山思想」(こういういいかたがあるかどうか?) をよく聞かされた。ただ、断片的だったので、多くの誤解をしていた。この本を読み、丸山眞男という先生の偉さが すこしわかった。この本では、その人物の業績について、きちんとまとめてある。頭の中がゴチャゴチャしている わたしにとって、整理された情報が入ってくるので、大変ありがたい。
 03-1-20までに第一章、第二章、第十二章まで読んだ。当分の間、本を読みながら納得する日々となりそうだ。
 03-2-20 全部読み終える。一章を2〜3日かけてきちんと読んだ。自分が係わった闘争や論争もあり 、固有名詞はすでによく知っていた。ただ、人物の育ち、人格形成過程などはまったく知らなかっただけに  大変参考になった。このようなことを知らなかったら、その人物のいう「平和」なり「民主」のことば の概念がわからないのだ。そのことを無視して、その人物の本をよくは分からないままに読んでいた。
吉本隆明(講演を一度聞いたことがある)がそうだ。自分に近い人物として読んでいたが、自分にとって一番嫌いなタイプであった。
鶴見俊輔さん(昼飯をおごってもらったことがある・年賀状などいただいた)や大江健三郎(面識はない) などは予想したとおりの人物であった。竹内好(面識なし)については、人物はまったく知らなかった。あまり好きになれないタイプだ。
江藤淳は、まったく読んでいない。小田実(一緒に記者会見をしたことがある・本人の写真を撮影した)の本はほとんど読んだ。親しめる人物。
丸山眞男という人とは、面識はない。ただ、丸山系列の石田雄先生には、Sの先生であったので、自宅でおめにかかった。
本書を読んで、わたしが一番影響をうけたのは、「思想の科学」系の思想家や活動家たちであったように思う。わたしはベ平連には参加 しなかったが、これらの人々と周辺の人々との付き合いが一番多かった。アメリカ兵脱走兵支援 にもかかわったし、「帰ってきた脱走兵」にも係わった。あのころの緊張感が甦ってくる。
わたしは、多くの資料を処分したが、まだ残っている。それらをどうするかで迷っていたが、本書を読んで、整理する方法のようなものを学んだ。
事件を分析するのではなく、人物の思想・人格形成の過程からその人物の主張・「思想」なりを整理する。
本書は「1945年から70年までの事典」である。
追加 2014年4月17日
著者 小熊英二 『1968年』