■ 丹羽宇一郎著『北京烈日』 ■

2013-07-21



丹羽宇一郎著『北京烈日』
文藝春秋社
2013年5月
目次
序章  北京の空気
第1章 「尖閣諸島問題」のあとさき
第2章 「世界人口爆発」
第3章 世界の食糧は足りるのか?
第4章 二大革命を支えるもの
第5章 日本経済をデザインする
第6章 中国が始めた「壮大な実験」
第7章 習近平・中国とうまく付き合う法
おわりに

見出しを読み、おわかりいただけると思うが、序章と第1章から第5章までは、日本国内がかかえている大問題について、著者の考えを語っている。しかも、現在と近未来の日本が直面している大問題について、大声で警鐘を乱打するのでなく、たんたんと覚めた目で、やや冷えた目で、絶望したくないので…、といった感じでわかりやすく語っている。
わたしは同世代なので、著者が学生時代どのような環境にいたのだろう、を想像しながら読んだ。そして、同感、同意、そして、著者に感服した。このことについてはここではこれ以上触れぬ。
さて、第6章、第7章は、この本の題字『北京烈日』に引かれたので、簡潔に感想を書く。
わたしは、今年76歳だが、60年近く、中国については、かなり読んできたつもりだ。自分自身「中国通」と思っていたが、現在の中国についての認識が甘かった。現在、中国が抱えている問題については、知識としては知っていたが、頭の中がゴチャゴチャしていて、整理されていなかつた。著者は、きちんと整理して問題点を指摘している。そればかりか、そういう中国と日本がどのように付き合えばよいのか、についても語っている。
中国共産党の抱えている問題、これから改革しなければならぬことを、習と李の若い二人はやりぬくのではないか、と危惧しつつも期待している。この視点はわたしにはなかった。
農民戸籍と農民工問題も大きな課題。
一般にいえることだがp210…自然科学には定理とか法則とかが存在するけれども、社会科学にはいつも両面があって、ときには複雑系の様相を呈することもある。…政治と経済は複雑系…