■ 夏苅郁子著『心を病む母が遺してくれたもの』 ■

2013-05-13

夏苅郁子著『心病む母が遺してくれたもの』―精神科医の回復への道のり
日本評論社
2012年8月
1300円+税

刊行によせて  中村ユキ(マンガ家)
第1章 母の生い立ち
第2章 別人になってしまった母
第3章 両親の離婚、そして新しい家族
第4章 医学生になって
第5章 精神科医になって
第6章 母との再会
第7章 私を強くしてくれた人たち
第8章 私の結婚
第9章 母の晩年
終章  私を変えたマンガの力
あとがき  「人生って素晴らしい」と言えるようになるまで
  

○ 書評ではありません。多く教えてくれ、役にたつ本ですので紹介させていただきます。
○ 2013年5月、NHKラジオ午前4時30分ころ、ハンドルをにぎりながら何とはなしに聞いていました。「この話し手は一体誰だ、一番知りたかったことを話しているではないか」。お名前を即メモしてインターネツトを開きました。その日のうちに、マンガ家の中村ユキさんのマンガ3種類3冊と夏苅先生の本を注文、即読み、さらに4冊追加注文して親戚、知人に配布しました。こんな異常行動をとったこと、かってなかったことです。
○ わたしの親族に、統合失調症の患者が2人いて、1人は30年くらい前自死しました。そして、今、1人は2013年7月1日現在精神病院に入院中です。わたしが患者の叔父なので裁判所の許可をえて、身元引き受け人となっています。
○ 夏苅先生の本は、論旨と内容がきちんと整理されていて、ゴチャゴチャしていない。大切なエピソードと説明を簡潔でわかり易い文章でお書きになっている。医学書、とりわけ精神病の本は、1度我慢して読んでも2度と読みたくない。ところがこの本は、付箋を貼って2度も3ども繰返し読み、「そうだ、そのとおりだ」と納得しながら読みました。
○ この本から感動的で、専門家でも誤るエピソードを紹介しょう。
P115 同じ精神科医の男性に破談を覚悟で、母が統合失調症であり、自分もその病気を持っていることを告白した時、「怖い面もあるけれどね…」と言われたが結婚。夏苅先生は、その意味を「病気が怖い」と理解し、そのことを心の内に封印していた。
P117 21年後、このことを夫に聞いた。夫は「お母さんの病気が怖いと言ったのではなく、自分も敏感で弱いところがあるから、支えていけるかなという意味で言ったんだよ」と答えました。そして夏苅先生は次のように書いています。
P118…実の娘である私でさえ、母のことを受け入れたくないと思っているのに、たとえ夫となる人であっても、他人が受け入れるはずがないと頭から思い込んでいました。
○ 精神病に関心のない方にもお勧めします。
                            渡久地 政司