■ 与那覇潤・東島誠共著『日本の起源』 ■

2014-01-05


与那覇潤・東島誠共著『日本の起源』
太田出版
2014年1月5日
まえがき
第1章 古代篇
第2章 中世篇
第3章 近世篇
第4章 近代篇
第5章 戦前篇
第6章 戦後篇
あとがき

著者がこの本で何を言いたいのか、私の知識ではよくわからない。本の広告には、「古代の天皇から現代の日本社会までを貫く法則とは?」「歴史学がたどりついた日本論の最高地点」とある。「貫く法則」「日本論」のフレーズが気になった。「法則」となると今やマイナスイメージいっぱいの「唯物史観」とイコールではないのか? 歴史書と思って購入したのだが「日本論」だったのか、とこれは納得。
私流の読み方、最初に「まえがき(与那覇)」、次に「あとがき(東島)」を読み、第1章から読み始めた。古代篇、中世篇まで、実に苦痛であった。出てくる語彙の知識が私にはなかったからだ。でもわからないところはそのまま一瀉千里、読みすすんだ。
私がいかに語彙の知識がないのか、一例をあげると「江湖」に初めてであった。本書P105には、解説があるのだが、よくわからない。私の体験では、1945年の敗戦直後の日本国を現しているようだが、それなら他にわかり易い、どこでも通用するような語彙があるように思う。「江湖」は、歴史学研究者内の隠語ではないのか。
近代篇、戦前篇、戦後篇からは、丸山眞男、中沢新一、網野善彦、小熊英二、河合隼雄、中根千枝というポピュラーとなっているお名前が出てくるので何とはなく、わかるような気がして読みすすんだ。しかし、私の知識と理解力では、理解することができなかった。
それは、著者が「オレたちはこんなことまで知っているのだぞ」、と知識を羅列し披瀝しすぎているためではなかろうか。
話しはそれるが、私の弱い頭脳でも小熊英二氏の本(ほとんど読んでいるが)は、分厚く重くても読み続けることができる。
本書は、読み始めたら最後まで読みきる、という私のモットーから、読みきったが、私には荷が重かった。
だが、この本は、「日本論」で激論を好む、20歳代の好奇心旺盛の生意気な(よいいみで)研究者にとっては、日本論の入門書としては必読本と言えよう。言い残しそうになったが、戦後篇は実に面白かった。