■ 豊田市公金・貸付金は、ドブに捨てるのと同じ
H 豊田松坂屋(旧そごう)ビル問題 ■

松坂屋豊田店・旧豊田そごうビル問題

2000年10月

撮影:渡久地(toguchi)政司

旧豊田そごうビル市費48億円貸付に問題あり!

まず事実のみを列挙します

《1》全国最大級の百貨店『そごう』が倒産し、その煽りをうけ、「豊田そごう」が昨年12月、 閉店しました。豊田市は第三セクター(既存の「とよた商人」)「(仮)豊田まちづくり株式会社」 を受け皿にして、「豊田そごうビル」を買収することにしました。この手続きとして、豊田市議会はさる3月21日、第三セクター会社への出資金3億円、貸付金48億円を支出する議案を可決しました。4月13日、第三センター「とよた商人」は、「豊田そごう」から豊田そごう名義の土地と建物の持分権を買収した、と発表しました。

《2》豊田市の説明ー閉店の影響ー@経済的影響 /消費の流失、雇用の喪失、地域経済へ の影響 A 市民生活への影響/生活の質が低下、生活環境の悪化 B都市活力・魅力への 影響/にぎわいの喪失、都市イメージの低下 Cその他/市税の減収。

市の対応策ー@土地建物・債権取得費などで、第3セクターへ、返済期間30年 以内を予定して48億円を貸し付ける。Aビル全体に担保権を設定する。B公認会計士グ ルプにより、資金計画、返済計画等について検証をうけ、経営が成り立つとの判断をえている 。豊田市商工部商工観光課資料から抜粋。

《3》「株式会社豊田そごう」について
本店ー豊田市若宮町1-57-1
株ー1株5万円、2千株発行、1億円
設立登記ー昭和61年8月28日
役員ー鈴鹿三郎、大林信義、山田恭一、寺田勝一、中沢幸夫、小幡I伸、飯ケ谷晴美、酒井一郎(支配人)、松嶋英機(監査委員)

《4》「豊田そごうビル」について
通称「豊田そごうビル」は、A館とB館の2つがあり、A館ビルは、豊田市西町6-85-1、 B館は豊田市若宮町8-45にあります。
A館は、地下1階地上11階、延べ面積43.910u、所有権は共有で、豊田都市開発株式会社 が10万分の6万12、豊田そごうが10万分の3万9988。
B館ビルは、地下1階地上11階建て の床面積22.581u、付属建物2階建457u。ビルの所有は共有で、持分権は、A館と同じ。

《5》「豊田都市開発株式会社」について
本店ー豊田市若宮町1-57-1
株ー1株5万円、1.280株発行、資本金6.400万円
設立登記ー昭和63年12月1日
役員ー寺田勝一、石川康郎、伊藤貞雄、伊藤禎彦、伊藤貞三、梅村宣朗、奥泉明廣、加藤博章、
木村公安、近藤嘉伸、鈴木錠治、竹内出、中条昭孝、塚本勝、築山公夫、内藤則之、成田慣治、
原田瑞枝、三岡信利、三宅隆正、横山和子、吉田正賢、深津和則、加藤春元、鈴木公平、岩瀬幸夫(監査役)。(平成12年8月25日時点)。

《6》「豊田都市開発」平成12年3月31日・貸借対照表から抜粋

《資産の部》

T流動資産 1.456.324.914円

U固定資産 6.315.921.996円

V繰り延べ資産 10.381.356円

資産合計 7.782.628.266円

《負債の部》

T流動負債 427.276.492円

U固定負債 7.193.480.761円

V引当金 87.000.000円

負債合計 7.707.757.253円

《資本の部》

T資本金 64.000.000円

U剰余金 10.871.013円

資本合計 74.871.013円

《7》「豊田都市開発」平成12年3月31日・損益計算書から抜粋

T純売上高 1.903.576.663円

U売上原価 119.585.149円

V販売費及び一般管理費1.689.482.014円

W営業外収益 69.999.853円

X営業外費用 163.155.217円

経常利益 1.354.136円

(当期未処分利益) 10.871.013円



《8》「豊田そごう」は黒字であった。
《1〜6》まで、事実のみ記載しました。ここから、解説と推理を書くことにします。 推理、としたのは、確証が得られないからです。資料の収集不足は否めません。 さしあたり、今、手元にある資料から分析と推理、解説を行います。従って、 誤り、等は指摘があれば、当然、訂正します。
「豊田そごう」の平成10年売上高は22.731百万円で、営業利益はマイナス252百万円 、経常利益はマイナス1.202百万円の赤字店舗(山田社長談)が公表された事実。 実は「豊田そごう」のみでは、約3億円の黒字を予定していました。なぜ、赤字店舗なのか。 それは、「そごう本体」がグループ会社(27法人:29店舗で構成)へ貸付た貸付金2.500億円 の1割に相当する258億円を「豊田そごう」が貸付引当金として計上したからです。また、 貸付金の他に債務保証が1.583億円もありました。 ですから、「豊田そごう」を豊田市や有志が『ガンバレそごう!』と横断幕を張ったり 支援しても、倒産は必至だったのです。「そごう本体」が傾いたことが「豊田そごう」閉店の 最大の原因だったのです。ですから、あの支援騒ぎは、茶番劇としかいいようがありません。
市民の前に「豊田そごう」の実体が公表されず、知らされていなかったから、茶番劇となった のです。

《9》「豊田そごう」と「豊田都市開発」は双生児
《4〜7》で、「豊田都市開発」を掲載しました。これだけですと、なぜ、ここに登場したのか 分からないでしょう。そこで、簡単にまとめて説明します。「豊田そごうビル」の正式な名称 は「豊田市駅西地区再開発ビル」といい、豊田市の都市再開発事業としておこなわれたもの です。
この事業で、土地を所有する地権者が中心となって設立したのが「豊田都市開発株式会社」 なのです。設立当初の社長は、豊田市助役でした。その後も代表権はもたずに豊田市長が 同社の会長に就任して今日に至っています。当然、豊田市も株主なのですが、 持ち株数などが公表されていません。この会社が第三セクターなのかどうか、曖昧 です。なぜなら、持ち株数比率が市議会に報告する義務比率に至っていないからです。 ですから、この「豊田都市開発」の経営報告等についは、市議会には一度も正式に報告 されておりません。
この[豊田都市開発」が、その後、第三セクター的性格を装いながら、独り歩きをし、 いつのまにか利権の塊・甘い蜜の塊と成長・化けたのです。
この「豊田都市開発」が豊田市の事業にかかわり過ぎました。「ほっとかん」「駐車場」そして メンテナンス事業。この利権(大きい利益をもたらす仕組みの権利)の象徴が「豊田 都市開発」の直轄会社「株式会社メンテック」なのです。詳細については、次で展開します。
ここでは、通称「豊田そごうビルA館・B館」の共同所有者が、「豊田そごう」と「豊田都市 開発」であり、所有割合が4対6であることを確認しておくことで止めます。

《10》「株式会社メンテック」

「株式会社メンテック」の社長は、奥泉友紀氏。社員5名は、「豊田都市開発」から出向。 電話帖によれば、「メンテック(株)」となっているが、「株式会社メンテック」が正しい。 事務所が豊田参合館内にありますが、所在地は電話帖によれば、若宮町2-69となっています。 資本金2.000万円。平成10年度売上高は、6億4千8百万円、経常利益は3千2百万円です。

《平成10年度貸借対照表抜粋》 資産の部

T流動資産 147.898.989円

U固定資産 648.500.468円

V繰延べ資産 200.000円

資産合計 911.642.591円

負債の部

T流動負債 91.534.716円

U固定負債 739.229.685円

負債合計 830.764.401円

資本の部

T資本金 20.000.000円

U法定準備金 5.000.000円

V剰余金 55.878.190円

資本合計 80.878.190円

《平成10年度損益計算書抜粋》

T純売上高 648.722.859円

U売上原価 237.566.799円

V販売費及び一般管理費352.364.441円

X営業外費用 33.638.611円

経常利益 34.716.361円

当期未処分利益 25.878.190円>

損益計算書のT−U=411.156.060円−V=営業利益58.791.619円。そして、当期未処分金 が2千5百万円もあるのです。経常利益34.716.361円+支払い利息割引料18.327.930円=53.044.291円となります。この会社が固定資産(若宮町の駐車場ビル)を取得し、支払い利息を計上するのは、利益隠しのなにものでもありません。わずか5〜6人の社員でこんなに利益のあがる企業は、他にあまりないでしょう。このようなシステムが構築されていることが問題なのです。
これを黙認・容認すれば、味をしめた利権屋(紳士・淑女の)が、サッカー場でも跋扈(ばっこ)するに違いありません。否、すでに跋扈しているのです。

《11》公開・明瞭会計が原則・ビル管理会社に徹すべきだ

「豊田そごうビル]の再生のための方策として、豊田市は、「(株)とよた商人」(豊田市・豊田商工会議所・豊田市商店街連盟が出資)に、市費48億円を年利0.8%で貸付、返済は10年据え置き、 20年返済という条件で貸付ます。今後、「とよた商人」が発展的に「豊田まちづくり会社」となり、「豊田そごうビル」のオーナーとなります。ここに大手百貨店「松坂屋」が入居を予定しています。この「豊田まちづくり会社」に、「豊田都市開発」が名前を捨て、中身をそのままで移行し、実質的に実権を握る、というのが豊田市のえがく筋書きなのです。

こんなに激しく動く世の中で、10年据え置き、20年返済とは、よく言えるものです。担保価値のまったく無いボロボロとなる建物に担保を掛けてあるから安心しなさい、?いいかげんにしなさい。公認会計士グループのお墨付きを得た、と?!経営をおこなうのは会計士ではないのです。今の金融恐慌を引起したのは、会計士や銀行屋たちなのです。5年も経てば、市長も市会議員の半分は代わります。10年経てば、当事者はいなくなります。こんな無責任な、こんな虫のいい、デタラメなことが行われてもいいのでしょうか。
こんなことが、まかり通ってもいいのでしょうか。
市民の血税48億円をドブに捨てるのと同じことです。。

百歩譲って、48億円をドブに捨てる覚悟で貸付るならば、最低、まるごと利権体質の「豊田都市開発」と「豊田まちづくり会社」とは、切り離すことです。「T-Feac」や「ほっとかん」経営などは、民間企業並の経営努力をする純粋な民間会社が経営すればよいのです。「豊田まちづくり会社」は、ビル管理会社に徹することです。
そして、豊田市長が「豊田まちづくり会社」の社長に就任し、責任を明確にすることです。有力者の子弟ばかり裏口採用(社員)や経理など、なにもかもオープン・透明にすることです。 現鈴木公平市長は、自分の退職金を10年間据え置き、万一の場合は受理を辞退する、そのくらいの覚悟がなければなりません。

そうしない限り48億円の貸付はおこなってはいけません。

弁護士の中坊公平さんのように公正と透明を実行してほしい。