U 市議会議員として 

■ 豊田市職員の資質を分析、人事問題を突く
J 一般質問 市職員人事について ■

昭和38年6月議会から昭和62年3月議会までの定例市議会一般質問を連続96回登壇して質問をおこないました。

 昭和56年(1981)3月市議会、第2質問―豊田市の人事問題―

 西山市長も市長就任以来5年余になりますので、前市長(佐藤)との比較される時期になりました。人事の佐藤に対して「建設の西山」と呼ばれています。このことは、西山市長は人事が不得意、を意味しています。4月の人事異動を前にして、ここでとりあげることにしたました。
 豊田市職員は、昭和56年度、2716人です。一般職員1人当りの給与費は、年間平均414万8千円ですので、年間人件費総額は、112億円と膨大なものになります。この給与が民間に比較して高いかどうか、給与の側面からの指摘なり糾弾の議論は、近年とくに盛んとなって来ておりますが 、私はその実態、気質等を総合的に事実を調べ、問題点を正しく認識して議論されなければならない、と考えております。
 とくにここ数年、豊田市役所職員に対してトヨタ自工型の人事管理の適用を求める議論が多くなされております。
 しかし、この議論は、トヨタ自工の労働者と豊田市役所職員との違いをまつたく理解しておりません。
 結論を先に述べるならば、トヨタ自工型の人事管理は豊田市役所に適用することは、不可能ということです。
 具体的にのべます。
(イ) 豊田市役所職員のほとんどが定住
者です。持ち家者と賃貸住宅者の比率は、持ち家者が2558人、95.3%です。独身者数を考えれば、ほとんど全員が自分の家屋敷を所有する定住者です。
(ロ) 豊田市役所職員は、転職する者が
きわめて少ない。退職者は、昭和53年60人、54年70人、55年は58人ですが、この内訳は、希望退職者、退職勧奨者や女子職員の結婚、育児等であり、成人男子の退職者はまったくありません。
(ハ) 次に豊田市職員の特質として重
要視されなければならないことは、市職員はきわめて濃密な親族関係で結ばれている、という事実です。
 一親等(親子)は104組、二親等(兄弟・姉妹)は、371組、三親等(いとこ)は、242組、配偶者(夫婦)は、183組と親族関係にあることです。
 これまでのことをまとめます。
 豊田市役所職員2700名は、@この三河で生まれた者がほとんどであること A定住者であること B転職をまずしないこと C深い親族関係で結ばれていること。
 この社会は、密度の濃い、粘りのあるネンド社会であることが特徴です。
 もう少し掘り下げてみます。
 市役所の建物内だけでなく、ここで生まれ、ここの学校を卒業し、地域での親族、地域社会、地域生活ときわめて深い関係にある集団なのです。
 この集団内での一時的な勝ち負けや恨みや仕返し等々は、後遺症として親子末代まで禍根を残すのです。ですから、規則や規律や命令等のタテ社会の規範よりは、周囲の目、世間の目が行動の基準となるのです。不正等は、規則や規律がなくとも行いぬくいのですが、不正を行うならば、職場ぐるみ、一族ぐるみ、赤信号みんなで渡ればこわくない、式となり、不正は隠蔽されてしまうのです。

 一方、トヨタ自工にあっては、具体的な数字をあげて実証することはできませんが、トヨタ自工の生産方式とか人事管理、就業規則等の資料から判断すれば次のようになります。
 1 軍隊的タテ型社会である。
 2 規律、規則と命令系統がしっかりしている。
 3 信賞必罰と結果責任が明確。
 4 豊田市外で生まれ育った者が多く、移住者。
 5 トヨタ自工社員はスナ社会。

   豊田市役所職員とトヨタ自工社員との違をしっかり認識しておかなければなりません。

 ここで、豊田市役所職員について、具体的に質問をいたします。

 1 豊田市役所職員、とくに一般職の職員については、逆ピラミット、玩具の独楽型になっています。引用があまりよくはありませんが、軍隊で例えるならば、歩兵がおらず将校ばかりです。豊田市役所職員は市と関係のある建設、土木業界の人達に現場の仕事をさせ、管理する管理意識が強くなっています。

 2 最近の豊田市役所職員の特徴的なことを、私的感想として述べておきます。

 責任を負わず、責任の転嫁に汲々している。事業に必要以上に経費をかける。困難な仕事の解決をおそれ、後回しにしている。能力以上の仕事量と仕事の滞積。仕事の流れのみタテ割で、しかも細分化し、部内、課内、係り内での調整協議がめちゃくちゃになっている。

 重大なことは、一連の事件で職場ぐるみの馴れ合い、汚職事件に巻き込まれ、退職した人々の恨み、怨念をよく知っている土木系職員には、御身大切、何事も無難に、へたに仕事をして火傷をしない方がよい、責任を他に転嫁するという風潮・雰囲気が蔓延していることです。

 西山市長になってから新設された水道事業管理者と教育委員会の2部長体制について質問します。

 水道局は市職員141人、教育委員会には市職員514人が働いています。そしてこの2つの機関は独立した行政機関ですが、この2つの行政機関のトップの権限はあいまいであり、その権限について重大な疑問を抱かざるを得ません。それは誰がみてもこの2つのトップの権限は、部長クラスでもやれることのみです。権限は形骸化され、ひな壇に飾られた人形といっても過言ではありません。そこで質問します。この2つのトップに人事権のかなりの部分を委譲してはどうか。人事に関することの任命権者は市長ですが、採用、移動、給与、勤務時間、懲戒、研修等があるのですが、採用権を除いて他は移譲してはどうか。

 西山市長は一連の事件において最終的責任を回避しました。そしてこの間に2人助役制についてきわめて不可解な処理をおこなっております。
 2人制助役がよくないことについては、私どもが再々にわたって主張してきたところです。今回の2人制助役の廃止については賛成であります。しかし、今回の廃止の仕方については、その配慮のなさについてここで述べておかねばなりません。
 過去において、佐藤市長時代の田村重三助役や加藤隆助役の退職にあたって、きわめて慎重な提案がなされました。退職の理由も、病気でした。即ち、退職者の面子が保つような配慮がなされました。西山市長が昨年3月、竹尾助役が任期切れであったにしろ、その退職の仕方は、前代未聞のやり方、即ち首切りでした。そして今回、どんなに美辞麗句を述べたにしろ、柴田清助役の首切りの仕方に強い不快感を抱くものは私一人ではありません。こんな形で首を切るならば、初めから任命しなければよいのです。

 それとも、昨年3月議会での提案は間違っていました、お詫びいたします、と自己批判してからならまだわかります。それもしない。昨年3月市議会で私どもの意見を無視して、多数で2人制助役を実現しておいて、その任期も半ばにも達していないこの時期に、首を切ることは、首を切られた人物の面子を丸潰れにすることですし、その人物の良さや功績をも蹂躙するものです。

 2人もの助役の首を切った、このやり方は、西山市長の人間性、品性、人物評価を決める重大なメルクマール(指標)になります。市長のご所見をお聞きしたい。

 いよいよ4月の人事異動に入ります。西山市長の人事のやり方に、市職員は注意して見守っています。

 西山市長におべっかを使う職員は登用されるが、真実を、切実な市民の声を直言する職員が冷遇されるのか、反抗した職員を報復するか。戦々恐々としている市職員が沢山おります。

 西山市長のご所見をお聞かせください。

 西山市長が、この間のことについて重大な反省がまず行わない限り、市職員はやる気をおこしません。市の事業が計画どおり実現できるかどうかは、逸に西山市長に謙虚に反省する気持ちがあるかにかかっています。

 西山市長のご所見をお聞きします。